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顎関節症

世間一般で呼ばれている「顎関節症」と専門的な「顎関節症」の定義は正確には一致しないのですが、ここでは町の歯医者さんが多く診察している顎関節の機能障害を顎関節症としてお話します。

一般開業医を訪れる顎関節症患者さんの病態の多くは「顎関節に疼痛がある」「若干の開口障害がある」といったところでしょうか。

これは顎関節内にある関節円板というクッションのようなものが前方に転位することにより、関節頭が後上方に変位し関節後方にある神経血管終末叢を圧迫することにより痛みが発現します、また関節円板が前方転位することにより関節頭が前方に滑走運動することが阻害されます、すなわち開口障害となります。

解決策としては咬合挙上(バイトアップ)やスプリントにより、まず神経血管叢の圧迫を抑制し関節円板が戻れるスペースを確保します(実際には病歴が長いほど関節円板が元の位置に戻る可能性は低くなります)
疼痛や開口障害が緩和してきたら再発防止のため咬合の悪因子を改善していきます
具体的にはブラキシズムやクレンチングの除去を目的としたアンテリアルガイダンスの付与、咬合圧の分散が主となります。(筋肉の過緊張は関節に深刻なダメージを与えます)

その後は経過観察となりますが、顎関節症は完全に元通りになるということはほとんどありません。
クリック音(関節雑音)といったものはほとんどのケースで残りますし、クリック音のみの症状では病気とはみなさないというのが現在の歯科医療界の標準となっています。
顎関節症とは顎や筋肉が退化してしまった現代人における現代病なのかもしれません。