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インプラント周囲炎

日本インプラント臨床研究会の100時間セミナーを受講している影響で、ついついインプラントの話になってしまいますが、今回のテーマは「インプラント周囲炎」についてです。

 

インプラント周囲炎とは
『広義には感染により引き起こされるインプラント周囲組織の炎症状態の総称である。狭義では、その炎症性病変のうち、周囲支持骨の吸収が生じ歯冠側よりオッセオインテグレーションが徐々に失われ進行した状態をいう。周囲軟組織の可逆性炎症のみで骨吸収を伴わない初期の状態はインプラント周囲粘膜炎と呼ばれる。』(引用:口腔インプラント学 学術用語集)

 

下の写真は他院にて埋入されたインプラントがインプラント周囲炎により腫脹を起こし、当院にて撤去したインプラントです。
骨に埋まっているべき根にあたる部分の上方4㎜が感染物質(歯石や歯垢など)によって汚染されています。

 

インプラント周囲炎の写真

インプラント周囲炎になり撤去したインプラント

 

インプラント体の表面は骨との結合を強固にするために粗造な表面性状に加工されています、この部分が汚染されると完全に汚染物質を取り除くことは、ほぼ不可能と言えます。外科的な再生療法などもありますが、成功確率はかなり低いと言えます。こうなってしまうと自然脱落するまで待つか、骨の喪失を未然に防ぐために撤去するかの選択肢しか残されません。

インプラント周囲炎にならないために大事なのは、術前の診査診断が的確であること、インプラント埋入時のテクニカルエラーを最小限にすること、患者さんにメンテナンスの重要性の指導を徹底することだと言えます。

現在、インプラント周囲炎の前段階であるインプラント周囲粘膜炎の段階で適切な処置を行えば(術前の診査診断、埋入術式が的確であれば)インプラント周囲炎への移行は、ほぼ食い止められると考えられています。