先天性欠損

初診時2018年(10歳女性)主訴は前歯のねじれが気になる。

この時点での問題点は左下5番の先天性欠損と上顎前突です。

2020年(11歳)先天性欠損の場合、乳歯を保存してそのまま使い続けるか成長期のうちに抜歯するか、総合的に判断し選択しなければなりません。

とりあえずT4K(口腔筋機能トレーナー)を使用して上顎前突を修正してみます。しかし臼歯部の咬合が安定しないせいか使用をやめるとまたすぐ戻ってしまいます。

2021年(12歳)上顎前歯の前突は4番を抜歯して矯正治療をしないと治らないと判断。であれば下顎の乳歯も抜歯し右下5番も抜歯するとしたのですが5番が萌出してきません。

そこで右下5番の埋伏抜歯の提案をしますが、ご本人が怖いとのことで一時中断。

2023年(14歳)患者さん自身がようやく埋伏抜歯の決意を固めてくれました。抜歯処置は新百合ヶ丘総合病院に依頼することにします。

2024年(15歳)抜歯が完了、矯正治療開始前のパノラマエックス線写真。

ようやく矯正治療がスタートします。

上顎頬側部にアンカースクリューを埋入して上顎前歯を後方に牽引します。

2025年(16歳)隙間がなくなりました、患者さん自身も私自身も紆余曲折、試行錯誤の連続でしたが、なんとかゴールに辿り着くことができました。

患者さん自身が治療をしたいという気持ちになるまでじっくり待つことも歯科医師の仕事だと思っています。そして患者さんと術者が治療のゴールをしっかりと共有し納得できていることが治療成功のためにとても重要だと考えます。