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インプラントの寿命

『インプラントの残存率は埋入部位および埋入条件により異なるが、システマティックレビュー等を参考にしたところでは部分および全部欠損症例における10~15年の累積生存率は上顎で約90%程度、下顎で94%程度である。また抜歯即時埋入や骨移植を伴った埋入では若干生存率が下がるものの87~92%程度である。』

引用:厚生労働省委託事業「歯科保健医療情報収集等事業」歯科インプラント治療のためのQ&A

 

私が処置を行ったインプラント治療で現在も継続的に術後経過が観察できている最も古い症例は、新橋で勤務医だった頃の2004年に処置を行った患者さんでおよそ12年以上経過しています、現在も特に問題無く定期的なメインテナンスのために稲城まで通院していただいています、また開業後に埋入を行ったケースも10年近く経過した症例が徐々に出はじめています。

 

2004年術直後の口腔内写真

 

 

インプラント

12年経過のレントゲン写真、骨レベルに変化は見られません

 

 

2016年、12年経過の口腔内写真、歯肉レベルにも変化は見られません

 

 

 

インプラントは正しく処置を行えば約9割が10~15年脱落することはないということが示されています、しかしここで言う残存率(インプラントの寿命)とは撤去されるまでの期間を指したものであり成功率とは異なります、現在インプラントの成功基準はより高いレベルに設定されています。

インプラントの成功基準については1998年のトロント会議でのコンセンサスレポートにより下記の条件が挙げられています

①インプラントが、患者と歯科医師の両方が満足する、機能的および審美的な上部構造をよく支持している。
②インプラントに起因する痛み、不快感、知覚の変化、感染がない。
③臨床検査時に、個々の連結されていないインプラントが動揺しない。
④機能後1年以降の経年的なインプラント周囲の垂直的骨吸収が、0.2㎜未満である。

これらの条件を満たしていなければインプラント治療は成功したとは言えません、現在のインプラントは最低でも15年持って当たり前という時代になりつつあります、当院ではこれまでインプラント治療を含む自由診療を5年保証という形でやってきましたが、そろそろ10年保証という形を考えなければいけない時期に来ていると思います。